DSLRを使ったコメディの撮影なのだ!

先々月から、TVコメディのパイロット版の撮影を、一部DOPとして参加してるんだ

僕がロケであちこち回っていた間に、殆どのシーンを撮り終えたのだけど、撮り残し分を今日と明日、手伝うことになったのだ

海外のコメディと言えば、いかにもスタジオみたいなセットで、マルチカメラを使って撮影して、聴衆の笑いを付け足すっていうスタイルで、こちらではSit Comっていうんだ

とは言え、こちらはお金の無い、パイロット版なので、セットがつかえるわけも無く、カメラも殆どのシーンは1台なのだ

つまり、状況的には極貧自主制作映画と、全く同じ状態

ロケセット一つ見つけるのも一苦労

今日は、劇中映画撮影のベッドシーンというのがあったのだけど、昨日の夜の段階で、予定されていたスタジオが使えなくなったという連絡

でも、プロデューサーからは何とかするという連絡のまま、午後に別の外のシーンから撮影スタート

そして、劇中撮影シーンの現場と案内されたのは街に近い高級マンション

5階に上がって部屋に案内されると思ったのだけど、エレベーターから降りた後、そこから動く気配が無い

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何と、エレベーターホールがロケ現場だったのだ?

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写真じゃ分りづらいかもしれないけど、左には2台のエレベーター、当然住人達が帰宅して上がってくる

昨日からスタジオと思ってるから、照明プランとか頭の中で練ってたのだけど、全て白紙

でもまあ、良くこんな風に発想出来るものだと、妙に感心してしまった

これぞ極貧自主制作映画道そのものじゃないか

さて、こっからが本題

コメディの場合、いわゆるドラマ物と違って、役者の表情をよりはっきり見せるために、コントラストの少ない、フラットな照明なのが定番

特にSit Comは普通の映画なら、悪いお手本にしてもいいくらい、シンプルな、クロスライティングという手法で、左右斜め後方から両方の演者の顔と、ラインに当たるようにセットして、後はカメラ側から押えでフィルライトを当てるというやり方

マルチカメラで、一気に撮るためには、効率のいい方法だし、Sit Comの場合、見る側も、こういう雰囲気に慣れてるので、まあ、良いのだろうね

でも、個人的にはそこまでやるのは面白みが無いので、ある程度は雰囲気を作るけど、役者の表情の部分はフラットになるように、調光付きのLEDで、押さえるようには心がけたのだ

ipodfile.jpg

ちなみに、このシーンは女優が普通の映画と思って出演したらポルノだったという落ちなので、エレベーターホールでこっから先はさすがに無いよ

こういったロケセットの場合、照明をがんがんに焚くわけにはいかないよね

さらに、シーン中のありものの照明を生かすためには、周りをあまり明るくするわけにもいかない

結局のところ、絞りを開けざる得ないような状況になってくるんだね

実際、今日のシーンは開放の2.8で、もし5DMkIIで撮影していたら、複数の演者が喋るシーなど、横1列にでも立って貰わないと、フォーカスが合わないような状況になってしまうんだ

役者のアクションが大きいコメディの場合、被写界深度は通常よりも深めにした方が良いというのが僕の考えで、ましてやSit Comスタイルは、むしろDSLRより、2/3インチセンサーの放送用ビデオカメラの方が、向いていると思うくらい

結局映画の制作者の間でも、5DMkIIよりむしろ7D等のASP-Cの方に落ち着いてるのは、こういった事情なんだと、実際に使ってみてつくづく思うよ

明日も撮影は続くのだ

ク~ル

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